着床不全に対する検査

1.子宮内膜着床能検査(ERA)

ERAは女性の着床の窓を調べる検査です。子宮内膜には着床に適した期間、いわゆるwindow of implantation(WOI)があります。この時期に胚盤胞を移植することが重要です。
通常、融解胚盤胞移植では黄体ホルモン投与5日後(投与開始から6日目)に胚盤胞の移植を行います。この時期がWOIと考えられているからです。
しかし、反復して不成功であった方にERAを行ってみると、25%の方がこの時期から外れている、つまり子宮内膜が胚を受け入れる状態ではない(non-receptive)ことが判明しています。
胚盤胞移植の不成功の原因の多くは胚の染色体の異常と考えられていましたが、このずれが原因であることも示唆されるようになりました。
ERAにより移植の時期を個別に確認することが可能となり、個々のWOIの時期に合わせて行う移植をpersonalized ET(pET)と呼んでいます。

5日目まで培養し発育した胚盤胞

5日目まで培養し発育した胚盤胞

実際の融解胚盤胞移植と同様の方法でホルモン補充を行い、移植予定日(黄体ホルモン投与後5日目)に子宮内膜の組織を採取し検査を行います。
着床に関連する約230の遺伝子の発現を解析し、その方のWOIの時期を同定します。検査結果が出るまでには3週間前後かかります。ERAを行う周期には胚移植は実施できません。
1回目の検査でnon-receptiveであった場合には次周期以降再度検査を行い、その方の移植に適切な時期を調べます。

2.子宮内マイクロバイオーム検査(EMMA)

子宮内マイクロバイオーム検査(EMMA)は子宮内膜の乳酸菌の割合を調べる検査です。子宮内膜の乳酸菌の割合は着床と深く関わっています。

3.感染性慢性子宮内膜炎検査(ALICE)

感染性慢性子宮内膜炎検査(ALICE)は慢性子宮内膜炎を起こす細菌の有無を調べる検査です。不妊の方の30%は慢性子宮内膜炎に罹患していると言われています。

EMMAおよびALICEはERAと同時に検査を行うことができます。