妊娠はするものの流産や死産を繰り返して、生児を得ることができない病態をいいます。2回の流産の既往を反復流産、3回以上を習慣流産といいます。
抗リン脂質抗体陽性の場合は抗リン脂質抗体症候群とよばれる自己免疫性疾患の可能性が考えられます。血栓症、習慣流産や胎児死亡(いわゆる不育症)などの症状を示します。
甲状腺機能異常や高血糖は不育症の原因となることが明らかとなっています。
近年、不育症の原因として血液凝固異常、血栓性素因が注目されています。
均衡型相互転座やロバートソン型転座などの場合に不育症となります。
中隔子宮(子宮奇形)は流産率と関連があるといわれています。
慢性的な炎症により着床不全や流産となります。
精子DNAの断片化が原因で流産となることがあるといわれています。
採血により
1)抗カルジオリピンIgM
2)抗カルジオリピンIgM
3)ループスアンチコアグラント(蛇毒法)
を調べます。陽性の場合には、低用量アスピリンの内服や、ヘパリンの皮下注を行います。
ヘパリンの代わりに柴苓湯の内服を行う場合もあります。
ヘパリンの皮下注が必要と判断した場合には、大学病院や近隣の総合病院に紹介させていただいております。
採血により甲状腺ホルモン(TSH、FT4)、血糖等を調べます。異常を認めた場合には、専門の内科に紹介させていただいております。
血液検査で
1)Protein S活性
2)Protein C活性
3)第XII因子
を調べます。異常を認めた場合の治療は抗リン脂質抗体陽性の場合に準じます。
検査は採血により行います。カップルのいずれかに染色体の変化を認める場合、ご本人は問題になることはありませんが、卵子または精子に染色体の変化が起こる場合があります。カップルの染色体検査を行う場合には、検査の前にカウンセリングを受けていただくことが必要となります。
着床不全に対する検査のページをご参照ください。原因菌が検出された場合には抗生剤の内服を行います。この検査および治療は現時点では体外受精の患者さんに先進医療として行っています。
精子の質に関する特殊検査のページをご参照ください。当院ではフローサイトメトリーで精子DNA断片化の検査を行っています。